弊社、株式会社ギミックが株式会社エイチ・アイ・エス(東証プライム:会社コード 9603)を割当先として第三者割当増資を行ったことを、本日の15:00に両社のホームページにてリリースしました。
ギミックは今後の成長戦略の中で、財務健全性の観点から資金調達の必要性があり第三者割当増資を模索していました。割当先としてはEXIT目的だけではないパートナーを基本路線とし、協業の可能性がありそうな事業会社を1stプライオリティとしていた中で、今回ご縁があり、株式会社エイチ・アイ・エスと合意に至ることができました。開業医向けの旅行商品の開発ができないか?海外富裕層が日本の医療機関を受診したいと言うニーズ、所謂、医療ツーリズムをビジネス化できないか?現段階では解像度は低いですがそんな方向性を模索したいと思っています。
このラウンドでは株式会社エイチ・アイ・エスの他にも、僕自身と旧知の関係である海外在住の個人投資家(所謂エンジェル)や、ギミックのメンバーがたくさん参加してくれている社員持ち株会、そして創業時から一緒に汗を流してきた取締役にも第三者割当増資を行いました。結果として(このラウンドは最終確定していませんが)、現在までで、2億4750万円を調達し、資本金は2億5750万円(資本準備金を含む)となりました。
「ん? ってことは今迄ギミック資本金1000万円しかなかったの?」
って声が聞こえそうですが、そうなんです。今年の12月9日に設立20周年を迎え、従業員が約350人、売上規模30億円となったギミックはこれまで資本金1000万円でやってきたんです。自分でもちょっと笑っちゃいます。
今どきの若い起業家たちであれば、アーリーステージから積極的に他人資本を集め、その資金を元に成長戦略を描きます。これによって成長の時間の短縮を狙います。ところがギミックは1000万円の資本金と事業により生み出した利益だけでこの19年走ってきました。古くからの幹部は僕のことを「石橋を鉄筋コンクリートに作り直して、それでも結局渡らない」と揶揄したことがあります。確かに僕はビジネスにおいては極限までリスクを嫌うのでその表現は極めて僕を的確に表しているのですが、ここまで他人資本による増資をしなかったのは、リスクを恐れてのことではありません。「医療情報サイト」と言う事業ポジションが世の中に確立されていない15年前に、仮に10億円集めて時間を買おうとしても、それは恐らく砂漠に水を撒くようなものだったと思います。その証拠にここまで我々には直接的な競合と言うものが存在しませんでした。
ではなぜ、いま資金調達を決断したかと言えば、それは3つの理由があります。
1つ目は、僕らは「僕ら自身の成長は必ず競合を生み出す」と考えてきました。僕らの事業がここまで成長し、多くの企業が協業を申し出てくれるようになった今、そろそろその時に備えていく必要があると考えています。つまり「医療情報サイト」というカテゴリーが確立されつつあると肌感覚で感じています。その時、我々は強者の戦略を取る必要に迫られます。そこには資金が必要です。
2つ目は「医療DX」時代の到来に関連します。日本の医療機関のITの導入は遅れていて、日本のITマーケットにおいて医療業界は「最後のブルーオーシャン」とも言われる程です。しかしDX化が進まないのには、それなりの訳があります。僕たちは15年かけて、18万ある日本のクリニックのうち3万ものクリニックの院長のインタビューをしてきました。3万人の院長は我々に様々な悩みを打ち明けてくださいました。院長を、或いはクリニックを知り尽くしている僕らだからこそ、かゆいところに手が届くDX化のお手伝いができるという確信があります。「情報メディア業」から脱し、クリニックのDX化にも寄添える「新・医療文化創造業」を目指す。これが我々の思いです。ここから新たなサービスをいくつもローンチします。そのための資金調達です。
3つ目は上の2つの理由と比較するとやや輪郭のぼけた漠然とした不安に対する対応です。直接的な競合が存在してこなかったと言いましたが、他社の方から「ライバルはいないのですか?」と聞かれた場合、僕は「ライバルとか言ったら笑われますが、敢えて挙げるならばGoogleじゃないかと思います」と答えてきました。
医療の情報と言うのは厚生労働省が様々な規制を設けています。例えば医療情報サイトをビジネスとして運営している場合、クチコミは掲載できません。ドクターズ・ファイルはこのルールを厳守し、全ての口コミ情報を破棄したという経緯があります(世の中には守っていない悪質なサイトもあります。ご注意ください!笑)。また保険診療においては紹介事業のように患者を一人紹介してくれたら紹介手数料を払うような行為も禁じられています。こういった様々な規制がある中で、現状のルールの中で戦うのであれば我々はトップランナーでいられる自信があります。しかしルールの変更があった場合、或いは全く違う発想のビジネスモデルで勝負してくる存在が現れた場合のことを考えると、カテゴリーにおける絶対的なポジションの確立を急ぐ必要があります。今こそ成長のスピードを買う必要性が出てきたと感じています。これが3つ目の理由です。
さて、資金調達はゴールではなくスタートです。僕らは「新・医療文化創造業」への道を進みます。
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